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by ssu-i
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報道【ALT偽装請負切り】解決策は、どこに??

先日、ALTと略称される学校での外国語を母国語とする語学助手(アシスタントラングイジチーチャー?)の、仕事が、いま現場と教育委員会と、労働局との間で問題になっている
と、
いうような大体の記事を書きました。

報道「外国人助手は偽装請負」滋賀

上のは、滋賀県大津市の事例の報道ですが。
今日、これに先立つ千葉県柏市での事例を小耳にはさんで
ちょっと、ため息がおもわずこぼれました。

柏のALT偽装請負:英語授業7月再開 役割分担明確化 /千葉
以下、毎日.jp より引用です。
毎日新聞 2010年5月29日 地方版
****
柏のALT偽装請負:英語授業7月再開 役割分担明確化 /千葉
 柏市立の小中学校全61校で英語を教えていた外国人指導助手(ALT)について厚生労働省千葉労働局が違法な「偽装請負」と認定した問題で、是正を指導された柏市教委は28日、英語の授業を7月初旬に再開すると発表した。従来通りの業務委託契約だが、授業で外国人講師と日本人教師の受け持ち時間を区切り、教師からの指示命令をなくすことで違法状態とならないようにするという。

 同市教委によると、ALTは3月末まで過去3年間、日本人教師と一緒に会話などを指導する「チームティーチング」を行い、事前の打ち合わせや授業後の反省会をしていた。これらが、業務を受注した会社が単に労働者を送り込み、発注元(市教委)の指揮下で仕事をさせる「偽装請負」に当たると千葉労働局に認定され、4月からの授業がストップしていた。

 市教委は7月以降、人材派遣会社と業務委託契約を結び、新たな外国人講師を確保。45~50分間の授業のうち、日本人教師が最初と最後の5~10分間児童生徒を教え、真ん中の30分程度を外国人講師が授業をして「役割分担」を明確にする。授業前後の相談や反省会もなくなり、改善点など要望は派遣会社を通じて伝える形になる。

 同市立小の50代の教諭は「先生同士がコミュニケーションを取らない授業が、子供たちのためになるのか」と疑問を投げかける。市教委の浮谷満指導課長は「チームティーチングが理想だが、早期再開の方法は他にない。日本人教師が指示命令をして再び偽装請負にならないよう各学校に徹底したい」と話す。来年度以降の雇用形態は、今年度の状況を見て検討するという。

 3月末までのALT23人は正規雇用を求めていたが、市は拒否した。【早川健人】

*****
以上、引用おわり

この毎日の報道では、子供との授業や教育活動の視点で記事がつくられています。

7月上旬に授業再開 柏ALT是正指導 業務委託、厳密に運用
2010年5月29日の東京新聞のもネットでありましたので、ご紹介。


東京新聞の記事中には、
以下、引用
*****
直接雇用を求める声があったことに対し、秋山浩保市長は二十八日の記者会見で、優秀な人材の継続的な確保が困難なことなどを理由に「現実的ではない」と述べた。 (竹内章)
*****
以上、引用おわり

優秀な人材の継続的な確保、が、判断のひとつの材料と書かれています。
あとに市議会議事録を紹介しますが、この千葉県柏市のALT、なんと近年では年収約200万円だったそうです。
じっさいの勤務時間、拘束時間、業務量や業務のストレスなどいろいろですが、
年間約200万円で「優秀」なことをのぞむのは、なんというか、
そこに、
教育行政として、なんぼの予算を、つかうのか
という姿勢がとわれるんじゃないでしょうか。
#この「偽装請負」の弊害は、サービス対象や顧客や取引相手や、仕事の結果の部分だけにあらわれるのではなくて、偽装請負で働かされている当事者にも弊害があることは、民間企業でも公務でも同じ図式があります。



さてさて、
この7月から、どう変わるのかの速報記事なので、よくわからない点があったので、さかのぼり検索して↓の記事

委託ALTは「偽装請負」 県内教委にも波紋
茨城新聞のネットで読める記事です。
以下、引用します
******

委託ALTは「偽装請負」 県内教委にも波紋
2010/04/21 (水) 本紙朝刊 総合1 B版 1頁

■契約切り替え「実情無視」
小中学校で英語を教えている外国人の指導助手(ALT)について、千葉県柏市教委が今月、労働局から「偽装請負」と指摘され、県内でも波紋を広げている。9割近い38市町村が柏市と同様、民間ALT派遣業者と業務委託契約を結んでいるためだ。文部科学省は直接雇用や派遣契約に切り替えるよう全国の自治体に通知した。しかし、直接雇用はコストが割高で、派遣契約だと勤務3年ごとに3カ月以上の中断期間を設けるとする厚生労働省の指針があり、各教委や業者は「学校教育の実情にそぐわない」と訴えている。

柏市教委は16日、市立小中学校61校の外国語指導助手23人について、千葉労働局から偽装請負と指摘されたと発表した。指導助手派遣の一時中止を含む同局の是正指導を受け入れ、新学期から指導助手らは学校で勤務できなくなった。
市教委は2007~09年度の3年間、東京都の民間企業にALT派遣事業を業務委託した。しかし、23人の業務の遂行は学校が直接指示していたとして、同局は「実態は派遣労働」と認定した。
隣県の異常事態について県教委は「現場は違法だなんて夢にも思わなかったはず」と困惑を隠せずにいる。

■委託は38自治体
県内の外国語指導助手は約370人。小学校で英語の授業が始まり、需要が高まっている。市町村教委は①直接雇用②国が仲介するJETプログラム③民間業者への委託や派遣契約-により、要員を確保している。
昨年11月の文科省調査によると、県内で直接雇用やJET、派遣で指導助手を確保しているのは16自治体で、委託は38自治体(直接雇用、JETとの併用含む)に上った。「指導助手が住む住居の手配や生活支援、人事管理など、面倒な手間が業務委託だと民間にお任せ。コストも安い」(複数の教委担当者)のが人気の理由だ。

■直接雇用コスト高
しかし委託(請負)の場合、注文主が労働者に業務の遂行を直接指示できない。厚労省は昨年8月、委託契約の指導助手と教員によるチーム・ティーチング(T・T)で、教員が指導助手に直接指示するのは違法との見解を文科省に示した。
学校関係者は「授業の指揮官は教員。円滑なT・Tと授業の質向上には教員と指導助手との打ち合わせが当然必要だ」と訴える。
文科省は昨年8月、契約形態を見直すよう各教委に通知した。委託方式を採用する38自治体のうち5市は、同省調査に対し「10年度から見直す」と回答したが、5市とも結局断念した。ある教委担当者は「派遣は再契約できないクーリング期間中の要員確保が難点。直接雇用する予算もない」と嘆息した。
柏市教委が偽装請負問題を発表した16日、ALT派遣業者でつくる国際理解教育支援協会(若林立美代表)は3年以上の派遣勤務が認められている例外26業種(通訳、アナウンサーなど)に外国語指導助手を追加するよう民主党と文科、厚労両省に陳情した。

********


千葉と茨城かあ、千葉新聞でなくて、ごめんねごめんね~というか。
この茨城新聞の記事には、派遣でも3ヶ月空白をおけば大丈夫みたいに書いてますが、
これは、国会答弁でも通達でも「3ヶ月のあとにも引き続いて同一業務に派遣を受け入れる場合は」違法と、はっきり断言されています。
現状の法律では、派遣は「臨時的、一時的業務」に限られています。
閑話休題
本論的には、
この茨城新聞のつっこみどころは、
『「指導助手が住む住居の手配や生活支援、人事管理など、面倒な手間が業務委託だと民間にお任せ。コストも安い」(複数の教委担当者)』
『ある教委担当者は「派遣は再契約できないクーリング期間中の要員確保が難点。直接雇用する予算もない」と嘆息した。』
という、
教育委員会の現場の担当者のそっちょくなコメントをひいているところです。
教育委員会の現場でも、
この問題であたまをかかえていることがわかります。


手間と予算の問題で、おもに。

そもそもの突端が、柏市市議会の議事録で読めます。

平成22年 第一回定例会(2月定例会)3月12日総括質問08号
日下みや子議員の質問に教育長ほかが答弁します。
以下、引用
*****


◆2番(日下みや子君) ここでやりとりしても教育長からきちんとした答弁がいただけないように思いますけれども、この間の経緯をきちんとやっぱり誠実に対応してもらいたいと思います。
 先へ進みます。次に、公契約条例の制定について質問をいたします。公契約条例の目的は、市民からいただいた税金でワーキングプアを出さないと、こういうことで今広がっているわけですけれども、今までは民民でやりなさいと言っていた契約したもとで働く労働者の労働条件の問題ですね。市の職員の皆さんが税金で働いているように、行き過ぎたこの間の民間委託、派遣労働の是正というのが非常に求められていると思うんです。今回市役所の管理業務で働く人たちの訴えがありまして、この問題が非常にはっきりしてきたわけですけれども、今ここにもう一つの訴えが届いています。教育長にこれはお願いしてあるんですけれども、柏市の学校現場で働く人の訴えです。ALTといいまして、外国語の指導助手です。この間、2年間無遅刻、無欠勤で学校で子供の教育に携わっていたこのALTの方がことしになって経営者から、仕事がなくなるかもしれない、仕事がとれたとしても、価格がたたかれるので、賃金が下がると言われたというんです。現在でも年収は200万円程度なんですけれども、教育という人を育てる仕事で子供との温かい関係が求められる、こういう現場でも年収200万円にさらに切り下げ、仕事がなくなるかもしれない、こういう状況におびえている人が今いるんです。そこで、教育長に伺いたいのですけれども、このALTの方はどんな身分で、今回何があったのか、伺いたいと思います。


◎教育長(河合良君) 柏市は、従来外国語の指導助手の契約の形態を業務委託契約でやっておりましたけれども、これを労働者派遣契約に変更いたします。今年度は、23名を市内61校に小中学校に派遣をしております。業務委託契約の場合には、学校からの依頼とか指導助言や日課変更に係る指示などが学校から外国語指導助手に行うことができないということで、契約先を通して相当前から計画書を出した上でやらなければいけないということで、準備が非常に大変だと。直接ALTとかかわれないという不都合がございました。派遣契約ではこういった点の解消ができまして、直接の指示とか指導助言とか打ち合わせが可能なわけでございます。小中学校でより子供たちの実態に合った外国語活動及び英語の授業の実施のためには派遣契約が適当であると考えています。そういった意味で今回新たな契約の仕方をするというところでございます。そのために業者がかわるかもしらぬというようなところが出てくるのだというふうに考えられます。以上です。

◆2番(日下みや子君) このALTというのは、先生の指導を受けて英語指導するわけですよね。ですから、先生の指示や指導、助言なしにこの活動というのは絶対できないと思うんです。そうすると、結局今まで脱法行為をしていたということになりませんか。

◎学校教育部長(野中和彦君) 今までは、事前の打ち合わせで会社のほうに必要なことを伝えて、会社のほうから必要なことを担当者に伝えるという形でやっておりました。


◆2番(日下みや子君) 労働者派遣法とか職業安定法というのは、本来は労働者を守るためにあると思うんです。ですけれども、この間こういう法を悪用して、それで行政も先頭に立って委託ですとか派遣労働者を拡大してきた。この間、学校図書館指導員は直接雇用に是正されたんですけれども、ALTもこういう直接子供の指導に当たる仕事ですから、当然直接雇用すべきではないかと思うんです。どうですか。


◎教育長(河合良君) 直接雇用の場合に、我が国の国民であるとまだ簡単なんですけれども、健康管理の問題とか社会保険の適用の問題、それから外国人を雇用するわけですから、ビザの問題、こういった意味で学校側の業務量が非常にふえるというところになります。指導力のある外国語指導助手の確保とか、それから病気で今までですと突然休んだ場合にその代替ができないとかといったことも当然生じてくるわけでございまして、そういった意味では、語学力がきちんとできて、服務がきちんとできると。それから、学校教育に熱意を持っているという方を派遣契約によって確保するということのほうが適当であるというふうに考えているわけでございます。


◆2番(日下みや子君) こういう教育に携わる人を安値競争にさらしていくということについて、私は非常に問題だと思いますよ。少なくとも今回これまで指導の蓄積のある人を首にしてはいけないし、それから教育に携わる人をこういう競争にさらさせてはいけない、こういうふうに思うんです。いかがですか。


◎教育長(河合良君) ALTの場合は、かなり専門技術的なところの領域でございます。そういった意味では、通常の単純業務のためにコストダウンをされるような業種ではないのではないかというふうに考えております。ほかの柏市以外の近隣の状況から見ますと、やはり同じように労働者派遣契約の形態が行われて相当の賃金としての支給実態を有しておりますし、それから労働基準監督局からもそのような指導を受けております。


◆2番(日下みや子君) この相談者の場合には、今回このことによって首になるかもしれないし、経営者から200万円程度の賃金をさらに下げるかもしれないと、こういうふうに通告されているんです。これが今の民間委託とか、それから市が発注する公共事業等で働く労働者の実態ですよ。だからこそ公契約運動というのが広がってきたわけです。庁内の管理業務の件にしても、今申し上げたALTの方の例にしても、今やっぱり雇用のあり方を是正するということが緊急の課題として求められていると思うんです。そういう中で野田市が全国に先駆けて公契約条例を制定したわけですけれども、非常に画期的な条例の制定だと思うんです。きょう本池議員の追及の中で副市長は検討しますとおっしゃったんだけれども、その検討することの中身なんです。この間の答弁でも、野田市の動向を注視して検討しますということなんですけれども、我孫子市の市長の姿勢というのは基本的に実際に公契約条例に向かうと言っているんですよ。それで、この間2月23日に議論したといいますので、私その検討委員会の記録をいただいたんです。2月23日に副市長と企画部長と都市計画部長と土木部長と水道事業管理者、それから財政部長、都市緑政部長、学校教育部長、こういう方の参加で検討委員会が開かれておりまして、その記録を読ませていただきました。それで、こういう議論だったらこういう結論になるのだろうなというふうに思ったんですけれども、まず困難ばっかり羅列しています。労使間の観点からすれば、公共団体が業者間の関係に踏み込むことで当事者間に問題を生じさせることもあるのではないか。これまでの経緯も含め、国に対し公契約法の制定を要望していくべきであろう。労働者は守られるべきであると考えるが、市が条例を制定する必要性とその意義については現段階では不明瞭である。国に法令化を求めていくべきと考える。労働者が民間発注工事と公共団体発注工事をかけ持ちで従事している場合に、公契約条例で定める最低額の賃金が月額の給与内訳にどのように反映しているのか確認することは困難ではないかと思われる。野田市では職員1人を増員して事務に当たることとしているが、柏市の場合にはどの程度の人員が必要となるか。対象は全案件にすべきであり、この場合には、1人当たり約40件扱ったとしても約20人の増員が必要である。こういう困難ばっかり意見されているんだけれども、一番大事なのは、今回問題になった市役所の管理業務ですとか、今私が申し上げたALTのこと、こういう労働者の実態というのが全然議論されていませんよね。議論されたのかどうか知らない。ただ、記録の中にはない。こういう中で公契約条例検討しようじゃないかって向かわないですよ。それで、やっぱりこういう新しいことやるときというのは苦労する。困難が伴います。恐らく野田市はこの条例制定するに当たって市長初め大変だったと思いますよ。だけれども、なぜこういう運動が起こっているかというと、これ長いですよね。本当に長いんだけれども、やっとここに来て、それだけ労働者の労働条件が過酷になっているということもあるんだけれども、やっぱり何とかしなきゃいけないという実態を正面から向かい合ったときに運動が具体的に実を結んだわけですよ。努力も困難も伴う。だけれども、このことを避けていていいのかということなんです。ですから、先ほど副市長が検討しますと言ったけれども、その検討しますという中身はどうなのかと。野田の様子を見ていますよ、全国が進むのを見ていますよ、国にやってもらうのを待ちましょうと、そういうことなのか、それとも我孫子のように少なくとも具体的に検討するということなのか。大体市長はマニフェストで掲げているじゃないですか。何ですか、そんな。掲げているでしょう。


◎副市長兼総務部長(浅羽大嗣君) お答えします。野田市の実態というのを私どもではつぶさに見せていただきたいと思います。私どもで検討委員会で話した中で、皆さん、議員さんも御承知だと思いますが、工事の場合には請負契約で下請は受けます。それも全部調べると条例は書いてあります。職員に時間幾らで払われたというのをどのように確認するのかがまず一番難しいと思います。これは、野田市に聞いていただいても、私どもでは、その工事に携わった人間が野田の工事をやったときの単価が幾らで、それがどうやって払われたのか、それを私どもでは確認するのかなと。確認の仕方が非常に難しいのではないかと、これは本当に出ておりました。それから、労働者の賃金を確保することは大事だと思っています、私どもでも。こういうことが大事だということで、うちのほうでも今後は検討していきたいということで、お話はそこにあった報告書のとおりでございます。

******
引用、おわり(質問は前後があって、ここでは省略しています


柏市議会の議事録検索システム自体は、
http://www.kaigiroku.net/kensaku/kashiwa/kashiwa.html
ここがトップページです。

つまり、業務委託でしていたものを、なんだかやばそうだと一旦、いまいたALTを全て「請負切り」して派遣にしようとしたら
労働局の出番になって、労働局がそれは偽装請負だから続けて同一業務に派遣はまかりならんと。
で、よその省庁がでしゃばるなと所轄の文科省に聞いてみたけど、前から言ってたやん
と、八方ふさがり(行政の幹部らが通達も現場も知らずに(あるいは市って無視して)いたせいで議会でも紛糾と)


いえ、がつーんと予算を補正してあるいは増額して、直接雇用すればいいんですよ。
手間も人員も予算もかかるけれど。


解決策の方向のひとつが、この議会質問にもでてきた「公契約条例」にあるのでは?と思いますが

これは、また別の機会に。


とと、追記
さいごに
この市議会にかかわって、
そもそもの労働局の指導の内容がよめる議員さんのサイト(指導の内容を発表した教育委員会の文書はPDFです。
http://www.kashiwa-council.jp/topics/index.htm#alt

あと、質問された議員さんの後援会ニュースのサイト(ニュース自体はPDFファイルです
http://homepage3.nifty.com/jcp-tokatsu/kashiwa/kusaka/
by ssu-i | 2010-06-18 12:54 | 派遣法Q&A