ひとりからでも入れる労働組合、青年ユニオンの委員長してます


by ssu-i
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くやしい派遣社員と家族の思い。派遣先の責任、判例などから明らか

「派遣社員」「偽装請負」という単語が、報道にならぶようになっているのを見るたびに
被害者の気持ちを思うと胸がいたみます。

事件になる前に、事故が起きる前に、
なにか手をうつことができた立場の人がいた
そのことに同時に思い至ってしまいます。

先日の記事にも書きましたが、セクハラについても派遣先の企業に、事業所に責任があるという判決が出ていました。
↓のブログでも、この判決をとりあげられています。
セクハラで派遣先に賠償命令
がんばる社労士は2児の母


昨日、大津地裁で出た判決は
偽装請負で、労災事故があり、被害者がなくなっている、いたましい事故での損害賠償の裁判でした。
京都新聞が記事にしています。↓
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20100623000034
偽装請負を認定 TOTO労災訴訟
大津地裁「指導義務怠る」
2010年06月23日 09時02分


毎日新聞は、判決の前にも報道しています。↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100621-00000249-mailo-l25
以下、引用
******
派遣社員死亡損賠訴訟:TOTO労災事故、あす判決 /滋賀
6月21日14時42分配信 毎日新聞

 ◇「派遣の命、軽視しないで」
 住宅設備機器メーカー「TOTO」滋賀工場(湖南市)で07年5月、機械に挟まれて死亡した派遣社員、西野尾茂信さん(当時39歳)=甲賀市甲賀町=の遺族が、「偽装請負」状態の勤務で安全対策も不十分だったとして、同社などに約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、大津地裁である。判決を前に、茂信さんの父末吉さん(74)は「派遣社員だからといって、人間の命を軽視しないで」と語った。
 訴状によると、茂信さんは停止した製造ラインの復旧作業中、機械と支柱の間に頭を挟まれ死亡。機械センサーに身を乗り出して手をかざす危険な復旧方法が常態化していたといい、末吉さんらは安全管理を怠ったと主張。同社は「西野尾さんは請負業者の指揮監督下で作業。当社に責任はない」と争っている。
 茂信さんは給料で冷蔵庫や洗濯機を家族にプレゼント。亡くなる直前、「連絡が取りやすいように」と、田んぼで作業をする末吉さんに防水タイプを、母秀美さん(68)には操作が簡単な携帯電話をそれぞれ贈った。
 今も会社からの謝罪はないといい、末吉さんは「茂信の命は故障して取り換えられた部品のようだ」と憤る。兄吉治さん(45)は「判決で真相が明らかになってほしい。悲しい目に遭う派遣社員が出ないように」と話した。【前本麻有】

6月21日朝刊
*******
以上、引用おわり


派遣先は、「雇用関係」にないと、いろんな態度で、派遣スタッフからの要望や苦情に対応しないこともよく聞きます。しかし、雇用関係あるなしに関わらず「使用者責任」が派遣先にもあることが、この間の判例で重ねて確認されてきました。

↓など
うつ病で派遣社員自殺~派遣先にも責任
http://srkomatsu.hp.infoseek.co.jp/shinbun/utsubyou.html

【第11編 労災・健康管理の問題解決】 - 第2章 労働災害 -
派遣元、派遣先の労災責任
http://www.loi.gr.jp/knowledge/businesshomu/homu04/houmu11-02-10.html

派遣労働者に対する暴行、派遣先企業に損害賠償責任を認定
ーヨドバシカメラ事件(東京地裁平17.10.4判決)ー
http://www.roudou-kk.co.jp/meeting/archives/2006reikai/001825.html


独立行政法人 労働政策研究・研修機構のサイトに、これらに関してQ&Aでまとめたページがありましたので、最後にご紹介。

http://www.jil.go.jp/kikaku-qa/part/K04.html
労働問題Q&A
以下、引用
******
(前略)
まず大前提として、派遣労働者も使用されて賃金の支払を受けるという働き方をしている点では通常の労働者と変わりありませんから、労働関係の法規は原則としてすべて適用になります。その上で、労働者派遣法は、その第44条以下において、労基法等における責任を、原則的には派遣元に負わせることを明記し、合わせて、派遣先に負わせるべきものを列挙しています。

派遣先が責任を負うのは、公民権の行使に関する労基法第7条、労働時間の原則に関する同法第32条、最長一ヶ月単位の変形労働時間制の導入に関する同法第32条の2の第1項、フレックスタイム制に関する同法第32条の3、最長1年単位の変形労働時間制の導入に関する同法第32条の4の第1項から3項、臨時の場合の時間外労働を定めた同法第33条、休憩時間に関する同法第34条、休日に関する同法第35条、時間外・休日労働協定に関する同法第36条第1項、労働時間の特例に関する同法第40条、労働時間規制の適用除外に関する同法第41条、年少者の労働時間、深夜業、危険有害業務の就業制限、坑内労働禁止に関する同法第60条から第63条まで、女性労働者の坑内労働の禁止と妊産婦にかかる危険有害業務の就業制限についての同法第64条の2および第64条の3、妊産婦にかかる変形労働時間制の適用制限に関する同法第66条、育児時間に関する同法第67条、生理休暇に関する同法第68条と、それらの罰則規定、また各規定にもとづいて発せられる命令です。

このほか、労働安全衛生法(派遣法第45条)、じん肺法(同法第46条)、作業環境測定法(同法第47条)などについても責任の所在をはっきりさせる規定がもりこまれています。

これに対して、たとえば懲戒であるとか労働災害に対する損害賠情の請求であるといった労働契約上の問題については、派遣元と派遣先のどちらが派遣労働者の相手方になるのかを明記した法規定はありませんが、労働契約は締結当事者どうしの事柄ですので、原則としては派遣元だけが当事者としての責任を負い、ただ合意の上で明確に派遣先にゆだねられている場合は、派遣先が当事者となる場合があるということになるでしょう。しかし、これだけでは解決のつかない問題もあります。

たとえば、いわゆる安全配慮義務は、確かに労働契約の当事者たる使用者、つまりは派遣元に課される義務でありますが、しかし派遣労働者が現実に日々の業務に従事するのは派遣先であり、派遣先でこそ労働災害を被る可能性が高いのは当然です。この場合、労働安全衛生法の適用についても派遣先がかなりの責任を負わされていること、安全配慮義務は、必ずしも契約関係当事者の間でのみ認められる義務とは認識されていないことなどからして、派遣先もこの義務を負う場合があると考えるのが妥当でしょう。
(中略)
労使関係についても、派遣は独自の問題を引き起こします。派遣法が施行される以前の事件ですが、朝日放送事件(最三小判平成7.2.28)では、放送スタッフとして派遣(厳密にはこの時点では派遣法上の派遣ではありません)されて業務に従事していた労働者が、地域の合同労組に加入し、派遣先である放送会社に対して団体交渉を要求しましたが、この放送会社は、労組法7条2号に定められた、団体交渉の要求に応じる義務があるのは自らの「雇用する」労働者の組合からの交渉であった場合であるという趣旨の規定を根拠に、この交渉要求を断りました。この団交拒否が適法か否かが争われたのですが、最高裁は、「一般に使用者とは労働契約上の雇用主をいうが、雇用主以外の事業主であっても、雇用主から労働者の派遺を受けて自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定できる地位にある場合には、その限りにおいて、本条(労組法7条)の「使用者」にあたる」として、放送会社が団交の相手方になることを認めました。この判断基準は、現在の派遣法のもとでも十分に応用できる内容であろうと思います。

(後略)

*****
以上、引用おわり

派遣スタッフは、派遣会社に雇われていながら、派遣先の企業に責任を追求することができる立場でもあります。
派遣先企業は、
CSRとか社会的責任とかコンプライアンスとかコーポレートガバナンスとか、うんぬん以前に、
労働者に対しての、使用者責任を怠った場合に、謝罪と誠意ある対応を示してほしいと思います。
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by ssu-i | 2010-06-23 12:51 | 派遣法Q&A